「見て良かった」と思えるような明るい作品もそれはそれでいいのですが、反対に「こんなの見なければ良かった…」と後悔するような気分になる胸糞悪い作品や後味の悪い作品もそれはそれで癖になるもの。

今回はそんな後味の悪い日本の映画(邦画)のおすすめを紹介します。

 

後味の悪い日本の鬱映画のおすすめ

葛城事件

あらすじ

父親から受け継いだ小さな金物屋を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れ、妻の伸子(南果歩)と共に長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた葛城清(三浦友和)。

理想の家族と生活を築いたと考えていた彼だったが、21歳になった稔がとある事件を起こしてしまう。

自分の育て方に間違いがあったのかと清が自問自答する中、伸子は精神的に病んでしまい、保は勤めていた広告代理店を解雇される。

やがて、稔と獄中結婚したという女・星野が現れ……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

三浦友和、南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈

 

【スタッフ】

監督:赤堀雅秋

 

感想・評価

父親の歪んだ愛と、それによって妻と息子2人が追い込まれ、家族全体が不幸に浸かっていく様を描いた作品。

その後味の悪さから、映画公開当初は「もう二度と見たくない!」と話題になったほど。

観る者の心を鋭く抉る、人間ドラマです。

 

パレード

あらすじ

映画会社勤務の直輝(藤原竜也)、イラストレーター志望の未来(香里奈)、フリーターの琴美(貫地谷しほり)、大学生の良介(小出恵介)たちは、2LDKマンションで共同生活を送っていた。

それぞれが不安や焦燥感を抱えながら、怠惰な共同生活を続けていたが、サトル(林遣都)が現われたことで変化が起こり始め……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介

 

【スタッフ】

監督: 行定勲

 

感想・評価

ルームシェアをしている大学生、イラストレーター、映画会社勤務、フリーターの4人の男女のところに1人の男(サトル)が同居人として加わることになり、物語が展開していきます。

一見仲良さげに見える4人ですがサトルが加わったことによりそれぞれが持つ闇が徐々に浮き上がってきます。

全体的にゆるく話が進んでいくのですが、ミステリー要素も相まってどこか怠惰的で不気味な雰囲気に包まれており、衝撃のラストには後味の悪さと恐怖心を抱くでしょう。

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そこのみにて光輝く

あらすじ

仕事を辞めて何もせずに生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。

拓児の住むバラックには、寝たきりの父親、かいがいしく世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。

達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれる。ところがある日、達夫は千夏の衝撃的な事実を知り……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平、伊佐山ひろ子、田村泰二郎

 

【スタッフ】

監督:呉美保

脚本:高田亮

原作:佐藤泰志(河出書房新社刊)

 

感想・評価

貧困で過酷な家庭を生きる兄妹を描いた作品。

全体的に重く、暗い雰囲気が漂っている中で時折見せる兄妹の温かさに光を感じますが、それでも救いのない話です。

見ると気持ちが落ち込んでしまうので、「憂鬱な気分になりたい」という人におすすめです。

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その夜の侍

あらすじ

小さな鉄工所を経営する中年男の中村(堺雅人)は、5年前に木島(山田孝之)が起こした事件で最愛の妻を失ってしまい、抜け殻のようになりながらも復讐(ふくしゅう)することだけを考えて日々を生きていた。

やがて、刑期を終えて出所した木島のもとに、復讐(ふくしゅう)を遂げる日までのカウントダウンを告げる差出人不明の脅迫状が届くようになる。

そして妻の命日の夜が訪れ、ついに中村と木島は対面を果たすが……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

堺雅人、山田孝之、綾野剛、谷村美月、高橋努

 

【スタッフ】

監督:赤堀雅秋

 

感想・評価

妻を失った男による犯人への復讐もの。

この作品はスカッとする爽快な復讐劇というわけではなく、復讐を胸に誓った男のやるせない、生々しい日常を描いた作品です。

そのため爽快な復讐劇を望んで見るとモヤモヤしてしまうかもしれませんが、これはこれで復讐というテーマを別角度で描いた傑作になっています。

主人公が5年越しに犯人に対して決着をつけるシーンは見ものです。

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クリーピー 偽りの隣人

あらすじ

刑事から心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前の同僚野上(東出昌大)から6年前の事件の分析を頼まれる。

だが、たった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。

一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之

 

【スタッフ】

監督:黒沢清

原作:前川裕「クリーピー」(光文社文庫刊)

脚本:黒沢清 池田千尋

 

感想・評価

サイコパスと定義される人物によるサスペンス・スリラー映画。

サイコパス特有の異常な心理や、狡猾な罠によって主人公が陥られる様を描かれています。

「クリーピー」とタイトルにあるようにぞっとする、不快な作品です。

この作品を見た後は自分の隣人や身近な人は大丈夫かな?こんなやばい人じゃないかな?と心配になります。

 

残穢

あらすじ

ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。

早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が様々な事件を起こしていたことが判明。

久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介

 

【スタッフ】

監督:中村義洋

原作:小野不由美

脚本:鈴木謙一

音楽:安川午朗

 

感想・評価

曰くつきのマンションの謎を解明していくミステリー・ホラー作品。

ただホラーと言ってもお化け屋敷やよくあるホラー映画のように「ワッ!」と驚かせるような演出は少なく、じわじわとしたリアルな恐怖が迫ってくる、そんな作品です。

またただのホラー映画ではなく、調査していくうちに今までの謎や体験談が繋がっていくミステリー要素もしっかり盛り込まれており、点と点が線になるカタルシスを味わうことも出来ます。

ラストは夢に出てきそうなほど不気味です。

 

悪夢のエレベーター

あらすじ

エレベーターに閉じ込められてしまった何だかワケあり気な男女4人。

助けを呼ぶ手段のない非常事態。絶対関わりたくないメンバー同士がエレベーターに閉じ込められた。

しかし、なぜかお互いの秘密を暴露しあっていくことに!?

そして、閉ざされた空間の中、ある“謎”に気が付いたとき、遂に悪夢のような事件が起きる!

しかし、扉の外では更なる悪夢が待ち受けていることを、誰も知る由はなかった――。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

内野聖陽、佐津川愛美、モト冬樹、斉藤工、大堀こういち、芦名星、本上まなみ

 

【スタッフ】

監督:堀部圭亮

原作:木下半太「悪夢のエレベーター」

脚本:堀部圭亮、鈴木謙一

主題歌:タカチャ「AIO~愛をください~」

 

感想・評価

止まってしまったエレベーターの中という閉じ込められた空間でそれぞれワケありな4人によって話が展開していきます。

なぜエレベーターは止まり、また動き出したのか?

全く読めない展開が続きながらもそこかしこに伏線が張られ、最後には意外な結末を迎えます。

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リリイ・シュシュのすべて

あらすじ

ある地方都市、中学2年生の雄一(市原隼人)は、かつての親友だった星野(忍成修吾)やその仲間たちからイジメを受けるようになる。

そんな彼の唯一の救いはカリスマ的女性シンガー、リリイ・シュシュの歌だけであり、そのファンサイトを運営する彼は、いつしかネット上でひとりの人物と心を通わしていくが…。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

市原隼人、 忍成修吾、伊藤歩、岩井 俊二、大沢たかお

 

【スタッフ】

監督:岩井俊二

 

感想・評価

中学生のイメージと言えば初々しく甘酸っぱい青春を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし実際の中学生はまだ未熟で多感な思春期ゆえに、意図せずに他人を平気で傷つけてしまったり、一方でちょっとしたことがきっかけで悪意ある言動を他人にぶつけることも珍しくありません。

今作ではそういった青春の裏にあるいじめや万引き、性に対する意識など思春期特有の残酷な感情をリアルに描いた作品です。

公開が2002年とかなり前ですが、今見ても今作で描かれる思春期特有の嫌な経験や雰囲気に共感する人も多いと思います。

描かれるテーマがテーマなだけに全体的に暗く、後味悪い作風になっているので、「憂鬱でやるせない気持ちになりたい」「中学生特有の陰湿とした人間関係を見たい」という人に今作はおすすめです。

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ゆれる

あらすじ

東京でカメラマンとして成功している猛(オダギリジョー)は母の一周忌で帰省する。

彼は実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会し、3人で近くの渓谷に行くことにする。

猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子

 

【スタッフ】

監督:西川美和

 

感想・評価

幼馴染の智恵子が吊り橋から転落した件について容疑をかけられる兄と無実を信じたい弟の話。

兄弟間の複雑な心のゆれを繊細に表現されており、物語が進むにつれてシリアスでスリリングな展開が繰り広げられます。

兄弟がいる人にこそ見てほしい作品です。

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ミュージアム

あらすじ

現場に謎のメモが残される事件が矢継ぎ早に発生するが、その事件は雨が降る日のみ起こっていた。

一連の事件の関連性を察知した沢村久志刑事(小栗旬)は、自分の妻子が狙われていることを知る。

やがて、カエルのマスクをかぶったカエル男の存在が浮かび上がり、犯人に近づいていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ罠にはめられ窮地に陥り……。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

小栗 旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子、妻夫木 聡

 

【スタッフ】

原作:巴 亮介 『ミュージアム』(講談社「ヤングマガジン」刊)

監督:大友啓史

脚本:髙橋 泉、藤井清美、大友啓史

主題歌: ONE OK ROCK “Taking Off” (A-Sketch)

 

感想・評価

同名漫画の原作を実写化したカエルの覆面を被った「カエル男」と、それを追う警察組織を描いたサスペンスホラー作品。

終始嫌な雰囲気が漂っており、終盤の「カエル男」との直接対決は目が離せません。

「カエル男」を追う警官役の小栗旬や、「カエル男」演じる妻夫木聡などベテラン勢の熱演にも注目です。

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冷たい熱帯魚

あらすじ

熱帯魚店を経営する社本と妻の妙子は、娘が万引きしたとの連絡を受けてスーパーへと向かう。

しかし、偶然居合わせた同業者・村田の取り成しで娘は無罪放免となり…。

 

キャスト・スタッフ

【キャスト】

吹越満でんでん黒沢あすか、神楽坂恵梶原ひかり渡辺哲

 

【スタッフ】

監督:園子温

 

感想・評価

とある事件を元にしたサスペンス映画で、一般人が悪い人間に懐柔されていく過程が生々しく描かれ、引き込まれます。

この作品を見ると気付かないだけで自分の身近にも悪意のある人間が潜んでいるのではないか?その悪意ある人間によって気付かないうちにまんまと乗せられて最悪の事態になってしまうのではないか?と恐怖心が芽生えてしまいます。

R-18にも指定されていることからも分かるように過激でバイオレンスな内容になっており、ショッキングなシーンも多いので苦手な人は注意が必要です。

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まとめ

というわけで今回は後味の悪い日本の鬱映画を紹介しました。

気になった作品があったらぜひこれを機に見てみてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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